不連続小説 『煙道 1』/クリ
■最初の千文字 Enduring
当時、吉園省では煙草師がまだ数人生存していた。
煙草を吸うためにはまず厳格な検査が必要であり、さらには「煙態」という特殊な所作を身につけなければならず、
喫煙という伝統を守るための様々な保護・規定が、逆にそれを絶やす原因になろうとは思われなかったのだ。
ついに煙草師は吉園省にいるだけとなり、「煙草」自体を知る者も一部の高齢者に限られるまでになってしまった。
私が煙草師を目撃したのもまったくの偶然からであり、村に着くまでその存在さえ知らなかった。
それは同じく吉園省の奥地に住む少数民族、大蛇族のドキュメンタリーを撮影しに行く途中のことであった。
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