印旛沼サイレンス/馬野ミキ
あじさいの花の名前を教えてもらい
それから漢字では紫陽花と書くのだとまるでせかいに沈黙があってはいけないのだ、というようにきみはぼくの手を引いて喋り続けるから、
印旛沼サイレンス
ちびっこ広場の丘の頂上できみはちびっこのように意味のわからない詩論を語り
ぼくはきみをうっとおしく思ってしまう前に
君のてを引いて代打でホームランを打つから見ててといって駈けてゆくけれど
ネクストバッターズサークルでどっちのチームにも所属していないことに気付いて
自分の名前だって分からなくなるから
君に抱きついてきっすをする気持ち余り透けたきみ
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