黙葬の誕生日(もくそうのたんじょうび)/こしごえ
 
ほほ、
雨上りの風が、
ほほをなぜてゆく
にわか雨の詩人は、
詩を吐いてまっかっか
死んじゃった

時は八月六日、
つるをのばしたつぼみの花は
夜空のかすみをうらめしげ
ええ、ことしもおあずけ。

んしゃらん
風は、

んしゃらんりん

青白い顔をして
宙空(ちゅうくう)へ視線を投げた。
彼女は女神
そして海の狂気
銀河の紅(くれない)といってもいい

広い荒野は血の涙
帽子の骨はヒューヒュルル
カラスはサーカスはじめてよ
裏の老人しゃもじを投げた。
葬列は静まりながら深く
歩を進め燃えあがるような空へと
吸いこまれていった

忘れてはいませんか。
大きな鳥が飛びたって
零の産声 降っている
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