おもいでは、いつも、きれいだけど/
八月のさかな
手をのばしかけてやめた
あの日の、すこし歪んだ夕方を
ねんどをこねるようにまるめて
食べた
ひといきで飲みこんだ
だってどうにか、前にすすまないといけない
わたしは何に悩んで
わたしは何に迷う
それをみきわめるより先に
そうやって飲み下したあの風景は
のどもとを過ぎた瞬間に
しゅわ と音を立てて
消えた
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