南風/吉岡孝次
いろいろなことがあった
いや なさすぎた
為すべきことを為し
為すべからざることをも為し
僕の一生は
いよいよ終わりに近づく
考えてみよう
僕が為したことどもを
恥じることはないか
埋もれた手柄はないか
ねじれた音ははりついていないか
床を走る足だけの生き物は
泣きたいなら泣こう
(上を向いて 涙がこぼれないように・・・?)
いっそ問いかけてくれたならよかった
素直に聞き返せただろうに どこまでが
僕で
どこからが
僕でない僕かを
── いたずらに齢を重ねて挙げ句の果てがこれでは
やりきれない
電話は叩き潰してやりたいと思った
げらげら笑うと気持がいい
いくばくかの憤怒を携えて 今!
茜空
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