不確かな存在2  (空、のその後で)/チャオ
 
水蒸気が薄く空の前にはばかっている。鮮やかな青空はこうして、くすんだ青空を獲得した。目の前に広がる、見なられた景色。今じゃ、コクコクと変化していく時間に褐色じみた進化を見せている。だけど、少子化の拍車がかかったこの土地で、わずかに生まれた子供たちの見る景色になど、褐色がかった進化なんて見て取れない。それは、ずっと前に生まれた、今じゃ大人の、かつて子供だった頃の人々の目の裏にだけ写る映像。

墓地の前、石段の上。背後に墓石を感じながら、盆地の景色を見ている。水にあふれた田園風景。一本横に伸びた国道。水田を邪魔することなく立てられた、住宅。走り始めたまま、とまることを知らなかった午後六時。夕食の匂
[次のページ]
戻る   Point(1)