スチーム/スチーム
 

玩具の木琴の音色に酔いしれていた少女時代
いつか何かになれると信じていました

母親の化粧箱を開けてその匂いを嗅ぐたびに
驚くほどの美しい未来が目の前に溢れ
眩暈がするほど素敵な口紅たちを一列に並べ
自分が女であることを意識しはじめました

私は私を呼ぶ方向へ なんの疑いもなしに進み続け
忘れたい言葉は忘れられないまま 奥へ奥へとしまいこみ
泥沼を渡らなければいけないときは 誰かに背負ってもらい
オアシスを見つければ 誰かが水を飲んだのを見届けてから飲んで
発言は避け 同調することを優先し
嫌われたり好かれたりを繰り返し

戦うことより 逃げることを 重視しました
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