“かわいい匂い”の正体/大覚アキラ
のだろう。
“わたしの内臓の匂い”というのは、言い換えれば“わたし”の<
しるし>だろう。産まれたての“こども”が“わたしの内臓の匂い
”を放っている状態というのは、“わたし”から産み出された“こ
ども”が“わたし”と別々の個になりながらも強い一体感を保って
いる状態なのだろう。それが今は少ししかしなくなってしまった。
このあたりに、なにやらヒントがありそうだ。
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ライアル・ワトソンの著書『匂いの記憶』(光文社刊)によると、
人間の鼻にはヤコブソン器官というものがあるそうだ。人間に限ら
ず脊椎動物の多くがこの
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