地球の裏側/岡部淳太郎
 

あるいは君は
静かな思い出
石の繰り言

光の傍に影があり
影の裏には光がある
海のように
青すぎる謎のままに
君は立ちすくむ
何度でも起き上がり
何度でも眠り直す
見慣れた風景
それがかすかな色彩と
輪郭の変化をともなって君の目に迫る時
君はたしかに
ひとつの裏側にいる
ここは寒いが
そこでは暑い
君はたしかな裏側
同時に君は
ひとつの表側

服を着替え
間違えて裏表に着てしまったような感覚で
君は立ち止まる
歴史の上に
文明の中に
君は立ち迷う
ここは
ひとつの表側
たしかな裏側
そこも
ひとつの裏側
たしかな表側
つぶつぶ
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