ニッキーマウス暗殺計画/大覚アキラ
 
検討した。だが、武器の入手方法や成功の可能性から考えると、どれも現実的ではなかった。結局、おれが選んだ最良の方法は、“ニッキーの家”でニッキーに握手してもらう時に、直接ナイフで奴の首を掻き切る、という極めて原始的かつ確実なものだった。

 そして遂に今日は、ディグミーランドのオープン初日。
 グランドオープンにふさわしい真っ青に晴れ渡った空。開園までまだ三時間もあるにもかかわらず、正面ゲート前には早くも長蛇の列ができていた。幸せに満ちた人々の行列に従いながら、おれは密かにポケットの中のナイフを握り締め、自分の中の冷え切った殺意を再確認していた。
 ようやく開園時間になり、行列はゆっくりと流れ始めた。
 今日からおれがニッキーになれるのだという身震いするほどの喜びと、長年愛してきたニッキーをおれがこの手で殺すのだという途方もない哀しみが、ゆっくりと歩くおれの心の中を去来していた。
 おれは泣きながら微笑を浮かべて正面ゲートをくぐった。
戻る   Point(6)