白い花/鈴木もとこ
 
流れてゆく
浮き沈みを繰り返しながら
下流の取水口に絡み取られ
何万の人が花に口づける

新しい友達からのメール
「おはよう」の声
擦り寄ってくる近所の猫
玉川上水
少しずつ確かなものが増える

なぜここにいるのか
まだ判らない
きっと何年たってもそうだろう
「僕たちは進んで行くよ。種をまこう」
大きな手がそっと包む
白い花のように あの日
私もここに落ちたんだね
今やっと握り返す

―もう泣かない、かもしれない。


2005.6.12
Ben's cafeにて朗読

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