霧の日/木立 悟
 




憎しみを憎めぬ己に目をつむり走りつづける霧の日の朝



手をつなぐふたつの季節の境いめのついばむ鳥さえいない花の実



何もかも光も土も不確かな滝のように流れるふちどり



朝をすぎ朝をすぎても朝はあり朝の手のなか朝の歌声



どこまでが滴なのか人なのかおぼろな道を遠去かる肩



ひと吹きに現われ消える道に立ち現われ消えるかたちを見ている



白い背の残骸に似た公園を踏みしめるうた駆け抜けるうた



花になり羽になりなお変わりゆく廻りつづけるさざめきの塔



ゆくだろうどこまでもひとりゆくだろう己を穿つ響き愚かに







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