しらやまさんのこと(4)/AB(なかほど)
 
  

卒園式ではいつも以上に
園長先生のお話 長いね
と うちの子供が気にかかる
寝てはいないか
ちょっかい出してはいないか
そんな心配もなんのその
みんなちんまりと神妙な面もちで

ときどき奇声を発する子を
とても優しいお母さんがふんわりと
けっしてぎゅっとではなく
ふんわりと

その中でR君は何を思っているんだろう
知らない世界を旅しているようで
窓の向こうの山々は
そろそろ緑支度をはじめるけど
そのまた向こうの白山さんは
五月までは白いままで
ときどきそっちの方を向いてRくんは

おおう

と声を発する
彼の世界は
あそこにも繋がってい
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