ボート・デイズ/吉岡孝次
使い方も覚えた
ようやく
夏が乾き
昨日へと遡ってゆける余裕が生まれる
抱えたことのない問題によって
ひとは計られるとするならば
誰も 誰一人として
濃い青空や
水に濡れた感熱紙に
値しない
拾い上げることに
僕が本来見い出すべき意味を
きみは
告知した
オールの重さを腕に伝えた波は
木陰へと 到り
僕は
丸められ にじんでしまった詩は後で作り直そうと考えている
いや 考えてはいない
何もかも一緒に感じているだけなのだ
風の上 中 下で
取り返すものはあらゆる関連
そして 屈託のないきみだ
冷たい雲があった
何かきみを喜ばせるようなことを言いたかった
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