縁取られる光、闇に消えていく思い出/チャオ
 
忘れてきた思い出がある。夜になると、頭の中で記憶と感情が騒ぎ出す。乱雑に、不規則に。忘れてきた思い出が疼きだす。ひっそりと現実をかみ殺そうとしている。いや、現実にかみ殺された感情が、現実を見返してやろうとしているのだ。
それからまもなく、つじつまの合わない夢を見たり、とんでもないことを思いついたりする。急いで枕もとの光をつける。白紙の紙と鉛筆を持ってくる。なるべく的確に、興奮状態をメモする。暗闇の、眠気と戦いながら。

忘れてきた思い出が、白紙に書かれたメモの中に記されている。太陽が地上に光を注ぐための準備をしている。今日が晴れるのか、雨が降るのか、それでも、一日は始まるための準備をする。
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