ふるさとのリアリティ/EnoGu
大小さまざまなごみの渦巻くまさに地獄の川でした。 そしてそこにかかるコンクリとワイヤーでできた新大橋はまさに現代の鬼門。 地獄の入り口(笑)です。 体が弱く、家にこもりがちだったぼくを心配して両親は新大橋のむこう(深川ですね)にあったスイミングスクールに無理やり通わせていたのですが、それがイヤでイヤで、たまらなかった。 深川はその昔、比較的所得の低い階層の人々の住むいわば「被差別部落」のようなところでした。 教養の無い母親からいろいろ恐ろしい話を聞かされていたぼくは、隅田川の向こうには鬼が住んでいると真剣に信じていたわけです。 どうしてそんなところへわざわざ毎週日曜日母親のこぐ自転車の後ろに乗せ
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