頷き/
松本 涼
ある時世界は小さく頷いて
私の肩に優しさを呼ぶ
私は水の中でユメを見ていた頃のように
水の外で地べたに頬を添わせていた時のように
優しさの幽かな震えに私を預ける
しかし気が付けばいつも私は
ひとり優しさの背中を見送っている
そしてその度にまた
世界は小さく頷くのだ
戻る
編
削
Point
(10)