花模様スケッチ/千月 話子
 


色画用紙に一日の花を描くよに



夏服の少女の贅沢なアトリエは
少し柔らかなメイプルの
敷き詰められた木床の上で
重なるパウダービーズのクッションが
転がる足先まで受け止めた


    花弁

まるで 憧れの赤いドレス
ペチコート ペチコート
膨らんだ四重奏へふわり落ちて
広がる花びら
外側から淡く揺れて
跳ね上がるハチミツ色のカールした髪
花心になる彼女の膝から、くの字に眠る



    茎・葉

開かれた日曜の窓から
リコーダーの「プ」の音が
風に連れられ、やって来た 
ウスバカゲロウ乗せて

    
生まれて一日目
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