私/こしごえ
ヒトに生まれてきたのでした
死を放った放物線に
何も絡ませる事も無く
時の歪むのも構わず
日を含んだ風に戦ぐ葉に
影をゆらす
私が揺れている
火の声を聞くようになってから
いつまでも
落下していく放物線は
無邪気に 時刻をたずねる
死は質量をもたず
ニオイの無い自らの影へと
落ちゆく花びらに似て
絶対的に浮きあがり
そこに時が咲いている
星が遠くで声をあげ
光に満ちた曇天に
雨の匂いを裏づける
記憶はどこまでも失われ
私は
またここにいる
秘め事をひそませたまま
水
とひとこと 瞬(まばた)きをする
個人サイト「As H System」掲載
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