【 命の伝え 】/豊嶋祐匠
私たちは、ただ
一滴の水を残すために
この世に現れ
子を産み、育てるのでしょう
両手に溢れる
この水流を
貴方の手の中にも、注ぎましょう
添え重ねた指の隙間から
零れる事を恐れず
ずぶ濡れる事から逃げず
漏れ落ちる事に拘らず
地に染み入るものを惜しまず
私たちは、ただ
一滴の水を残すために
この世に留まり
子を産み、育て続けるのです
たとえ
そのために削がれる身に
意義無き
価値無き
けして
喜び無き日々が
費やされたとしても
私たちは、ただ
一滴の水に残る
命を伝え
その慈しみを
見届けるために、生き続けるのです。
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