首吊り流星群/あおば
 
もらった手前
おいそれとは
故郷に帰ることはできない
家賃の支払いも半年分滞っているので
怪しまれないように
しばらくは今まで通りに
道場に通い詰めているふりをしなくてはならない

この町の首塚にも
平将門の怨霊がまとわりついているそうで
夏でもひんやりと冷たくて
梅雨時はびっしょりと血の滴のように鈍く光って濡れている
近づくと生臭いにおいもするようで
背中が冷たくなるのを感じる
のんきに
天然クーラーなどと気楽に物言う者は
二十七日以内に首を吊る羽目になる

ちょっとぼんやり余所見をした隙に
麻薬入りのカレーパンを懐に入れられたり
いつのまにか拳銃がカバン
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