鬼ノ園(おにノその)/こしごえ
みてはいけないものをみてしまった
それは、おそらくヘビの
そこのない くろくすんだつめたい瞳
よこしまの真実は
ひどく
くらくしめった うずまく混沌
その晩のこと。
「今日子さん、お食事にしましょ」
白い星は夕涼み
「わすれていたわ」
蛍がチラホラ水辺を散歩
「ひるま、ゆめをみたの。
こちらをじっと、うかがっていたわ」
どこかの太陽が
地平線で侵食されてゆく。
何が?
と問う暇もなく少女は、
お庭に下(お)りて
池の蛍を眺め始めた。
「……」
あのひとは、ここを訪れない
静かに澄んだ池の水は、
夕闇にとけて
はるか彼方の星座は、
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