銀の鈴参り/ヤギ
それは不思議な行列でした
新月の夜でしたのに
ぼんやりと照っていたのです
そこかしこからケタケタと笑い声が聞こえましたのに
誰も笑っていないのです
一行は静々と厳かに歩みます
この世の者ではないようでした
その中の一人が竹を担いでいました
竹には幾枚かの紺色の短冊と
幾つかの銀色の鈴が揺れていました
鈴はしゃりんしゃりんとかき氷の溶ける音を立てて
それがなんだか懐かしく思えまして
私は後について行ったのです
暫くして竹を担いだ男はこちらを向いて
薄うく笑い
ぽつ、と一枚短冊を取ってくれました
指を触れると仄かに青白色に光ります
私は小指で願い事を書きました
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