紫陽花が咲く頃に/ベンジャミン
 
方のないことですね
紫陽花は
その花色に美しさだけを浮かべているようでも
世間の水の酸っぱさを吸いこむほどに
色を増してゆくと知っている
あなたは
ひとつひとつの花びらの
そんな静かな声を受けとめながら
けれど
悲しくこたえることもなくただ
きれいと
微笑み呟くのでした


降り続く雨が
たとえ悲しみに満ちているとしても
そんな淋しさに手を差しのべて
それにさよならをするように花びらをゆらす
あなたは
だからこんなに
きれいでいられるのですね

やがて散る紫陽花と
そのまま咲き続けるあなたを見比べれば
打たれ弱い私でも
まだまだ頑張れそうな気がして
それをどうにか伝えたかったのですが
私もただ

きれいだねと
微笑み呟くのが精一杯でした

     
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