夏の白昼夢/蝶番 灯
僕よりずっと歳の低い声が
楽しそうな悲鳴を上げているんだ
そして蝉の声は初夏を告げて
其れに誘われた蜂を 翠の葉に見る
君は何時も憂鬱そうに
「消えて行きたい」等と云う
僕は其れを聞く度 居た堪れない気に成るのさ
君が独りに成っちゃ嫌なのに
僕は君に何も言えない
僕は君を傷付けたくない
君の隣に居たいよ
現在僕を纏う風が 想いだけ
其れだけでも連れて行ってくれたら善い
僕は只此処で黙って居るだけじゃ
如何し様も無いさ
君を孤独になんて、させたく無いんだよ
六月を謳う風が
此の儘僕
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