ガラスの都/紫音
突き抜ける灰色の列柱
空を絡めとる錯綜した架線
見下すように監視する漆黒の翼
世界は囚われ視界が捕らわれる
可視性のリアライズに反射する陽光
はためくトリコロールの布切れに
言葉は摩滅消耗していく
語り部は物語を失い
そびえ立つ断絶のガラスを見上げ
ノイズの洪水に息ができない
反復する行き場のない答えは
虎視眈々と狙われる三毛猫に似て
竦みながら闇へと駆ける
監視者と捕縛者に覆われた
終わりのないガラスの都
鋭利な傷をつけ
ぼやけたスプレーで
ただ居ることを刻んでも
翌朝には綺麗に消される
麗しくも解体されたメビウスループ
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