天使に非ず/
 
分には何の価値もない、そう思っていたと認める事だった。誰にでも当然あるはずのものが生まれつき、ない。困ったことに、彼女の愛は、それを世の中につまびらかにしてしまった。俺は、翼を持って生まれなかった自分なんて、誰にも愛されなくて当然だと思っていた。だから、耐えられた。俺には翼が無いから、翼のある他の誰にも必要とされなくて当然なのだ。しかしそれは、逆の事でもあった。ひどく冷たくて、残酷で、取り返しのつかない真実。翼を持って生まれることができたやつなんて、愛するわけはないだろう。俺には、その祝福が無かったんだから。彼女は、悪くないと思う。ただ、孤独を知らないだけだ。

俺は、機を狙って、彼女に別れを告げた。
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