婚姻/
 
見渡す限りの青

赤信号を計る 背中を遠ざける
月を追って往く 雲が費える所
僕が消える街 僕の影が在る

見渡す限りの青

映画の中の現実 現実に成り得る嘘
人は信じている 信じさせられている
星が星でなくなる 瞬くものは皆神
夢を見る度に思う 夢を見ていたと

見渡す限りの青

一輪の赤い花を摘み 一輪の赤い花を供え
ただそれだけの意思と 意味のない明滅
もう誰もその道を 渡ることはない

見渡す限りの青

死ぬことに理由があり 生きることに目的があった
そう語った屍の眼窩 その美しい赤い花を挿す
目覚めることのない眠り 目覚めていたことも思い出されない

見渡す限りの青
見渡す限りの青

誰も受け入れなかった魂 彼を必要としなかった命
指先に留まる蝶の形 羽と呼ばれる器官の揚力
そこから何処へも行かない 既に旅立った後だから

導かれるように佇む 項垂れた肩に掛かる光のヴェール

私は神と婚姻するのですか、と幼い子供が真っ直ぐに月を仰ぐ

見渡す限りの夜
戻る   Point(3)