天使の涙の夜/秋葉竹
 
ちょっとむかしの、はなしです
悲しみばかりが、降る夜に
ひとり冷たい公園で
夜空みあげて清らかに
微笑む少女がいたのです

そしてさくやの、はなしです
まぼろしみたいな夜の海
海路を撫ぜる淡い風
もう失われた霧雨が
そっと少女の頬を撫ぜ

むねでかがやく、はなしです
たったひとりで懺悔する
夢の名残りを火にくべる
愛する人はその夜に
わたしを待っててくれるでしょう

そしてこんやの、はなしです
いまも少女は微笑んで
罪の重さを棄て去って
幻想よりもささやかな
あすへ消え去る夢をみて

これがホントの、はなしです
夜は悲しい刺青を
苦しい胸に刺すのです
レモンの希望を目指すとき
かたく未来をみるのです

ここから夢の、はなしです
わたしは少女になるでしょう
ふたりは夜へと逃げるでしょう
夜がメガネを外したら
ふたりは天使に、なるでしょう








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