LGBTIQの詩人たちの英詩翻訳 しょの2/田中宏輔2
 
たのか、その理由がわかってるよ。
テレビなんだよ。「…この売女め! ぼくのボーイフレンドを盗みやがって! 
よりにもよって、自分の母親がそんなことをするなんて!…」
ぼくは、音がしないようにタオルを折りたたむ。ぼくには、彼女が思ってることがわかるよ。
そんなことをするなんて、クズのすることで、罪深い、しょうもないことなんだって。
ちょうど、ピルに含まれてる女性ホルモンをとることが
神さまのお考えになってることではないと、彼女が考えているように。
医者たちがどう言おうと、ぼくがゲイだってことは、疑いもなく自然に反していることなんだけどね。
彼女は、そんな痛みには耐えられないんだ。
オーブンのタイマーが鳴った。ぼくが焼いてたクッキーが焼き上がったんだ。
もうひと焼きしようかな。彼女は、そいつにはひと触れだってしようとはしないだろうけど。
四旬節のことはうっちゃっておけってことかな。
ぼくのお母さんの愛か。いったい、そいつは、どこに行っちゃったんだろ。


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