小説の習作 原稿用紙三頁 #02/田中教平
たんだ、とユウスケは思った。
「飯、食べるかい?」
ユウスケはカナに訊いた。
「それより、顔、洗わないと、わたし」
ユウスケは、それなら、と自分の分のご飯を炊飯器からよそり、冷蔵庫から、納豆のパックを取って炬燵まで運んだ。
カナは思い出して
「昨日のドライカレーがまだ残ってる!」
と告げた。もう納豆ご飯を食べはじめていたユウスケは
「一人前だろ。それならカナが食べたらいいよ」
と応えた。
こういった朝のあらましを、思いかえしつつ、ユウスケは原稿用紙を埋めてゆく。ユウスケが書いていたものは私小説であったが、果たしてそれが私小説風の、私小説もどきの、なんでもない日常を書いているものであると言われても、反論はできまい。
しかしユウスケは最近の生活、暮らしにすっかり安住してしまって、ちょっと老いた。
なによりなんでもない日常が沸々と嬉しかった。
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