凄いぞ! TOP10「真綿の君」海/室町 礼
 
があるという設定」を共有して夜を明かすこと、
その「関係性の形式」にこそリアリティを感じているよう
に見えます。

  真綿の柔らかさを

  そっと抱きしめて
  夜を明かそう

この詩に登場する「君」は「無垢な真綿(空虚な器)」
である自分に耐えられず「刺青(人工的な意味)」を付与
することで、ようやく愛される対象としての「構造」を
完成させているように見えるのですが。
語り手もまた、その「刺青という記号」を媒介にして、真
綿の柔らかさ(表面的な心地よさ)を享受している。つまり、
お互いの魂の深淵を見つめ合っているのではなく、お互い
が提示し合う「設定」を抱きし
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