凄いぞ! TOP10「真綿の君」海/室町 礼
味で成熟した人間(あるいは実体のある人間)は、自分
の痛みを「無垢な瞳」などという言葉で装飾しません。
この詩における「無垢」とは「私はまだ何も知らない子供であり
ゆえに世界から保護され、些細な傷も「刺青」として扱われる」
という甘えの宣言、つまり「構造の脆弱性」を武器にしている状
態だと言えなくもないのです。
読み手は詩の書き手を救っているのではなく、書き手を「深い傷
を負った悲劇のヒロイン」として承認することで、翻って自分た
ちの空虚な日常にも「見えない刺青」という物語を付与している
のではないか。
書き手は無根拠に「無垢な瞳」という前提をおいています。つまり
「無垢な瞳
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