幾春別/伊藤透雪
 
貰う。青い朝顔の柄に、赤い
絞りの兵児帯を締める。帯板代わりに畳んだ新聞
紙が入っていて、格好悪いのが唯一の不満だ。
カランコロン下駄を鳴らして歩くと、それでも
嬉しい。
夕刻、公園には四方にピンクの提灯が明るく、
子ども盆踊りが始まる。櫓の上で、町一番大柄な
父が太鼓を叩き始めた。
  ドン、ドン、ドンカララ、ドドンガドンーー
子ども盆踊り唄が流れ、手拍子したり手の
ひらを返し、腕を横にしたりと、踊っていたら
足元の覚束ない妹を見て笑ってしまうと、
気づいた彼女が下唇を出して膨れていた。

ーーそよろそよ風牧場に街に 吹けばチラチラ
  灯がともる 赤くほんのり灯が
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