戻す理由/後期
 


私は頷きました。
賛成したのではありません。ただ、この言葉が、撤回されない種類のものだと知っているからです。

鏡の前に立つ主人を見ても、姿は変わりません。
老いも、疲れも、いつも通りです。内臓が裏返っていようと、人は簡単には変わらない。むしろ、変わらないものだけが、浮かび上がる。

机に向かうと、主人は書き始めました。
書いているのは、感想でも意見でもありません。切断です。余分な考えを切り落とし、残ったものを、もう一度、切る。その繰り返しの中で、身体の内側が外へ露出していく。

夕方、主人は言いました。
「戻す理由がない」

私は答えませんでした。
戻す、とい
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