脚注/後期
 
用件で来たのか
分からなくなった。

ただ、
脚注だけは増えていく。
紙を渡されるたびに、
小さな数字が
こちらを見ている。

ある書類の最後に、
こんな一文があった。

「※17 本文に関する最終的な判断は、
   後日あらためて脚注で通知する」

その日、
私は何も決まらないまま
家に帰った。

帰宅すると、
郵便受けに
封筒が一通入っていた。
中身は一枚の紙で、
全文が脚注だった。

それを読んでいるうちに、
これは怪異ではなく、
手続きなのだと
思えてきた。

そう思った途端、
少し安心した。
制度の形を取ると
不安は
静かになるらしい

※(処理済み)

用件は、
とっくに終わっていたのだ。



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