すすき野原の物語(与一と狐)/板谷みきょう
った。
「ジャガタラだ。」
与一は誰に言うともなく呟いた。
異国の地で飢えに苦しんだとき、ある名もなき老人が
「これを植えろ。土がすべてを解決してくれる。」と
手渡してくれた命の種だ。
翌日から、与一の孤独な戦いが始まった。
彼は神社の周りの、誰にも顧みられない痩せた土地を耕し始めた。
鍬を振るうたびに、土の中から古い瓦の欠片や、忘れ去られた石仏の指が出てくる。
ここは、村が捨ててきた「過去」が堆積する場所だった。
村人たちは、相変わらず彼を笑った。
「あんな砂地に何を植えても、芽など出やしねぇよ。」
「鬼の住処(すみか)を耕すなんて、気が知れねぇ。」
だが、与一
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