祈りとコーヒーと/本田憲嵩
 
祈ることはいつだって丁寧さに連結され、そして場合によってはさらにそこにけっして焦ることのない時間が上乗せされる。
たとえば某初代特撮俳優のドリップコーヒーの淹れ方。細口ケトルからお湯を一滴一滴。まるで点滴のように細やかに垂らしながら。手首をぷるぷると震わせながら。きわめてきわめてゆっくりと。それはそれはきわめてゆっくりと。じっくりと時間をかけながら。そのケトルを持つ腕は常にしっかりと固定させながら、少うしずつ少うしずつ。「おいしくなぁれ」、「おいしくなぁれ」。(ドリッパーやサーバーにはあらかじめお湯を通しておいて。その温度を均一に温めておいて)。(ああ、とても甘くて苦いコーヒー豆の香りがまるで武
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