シジュウカラ/山人
時折冬芽をついばみにシジュウカラがサッシの近くに寄ってくる。かわいいので近くに行って声をかけるのだけれど、ガサガサっと羽音を立てて逃げ去ってゆく。ただ、見るだけなのに逃げていくというのは何なんだろうと思う。羽もない高齢者の私が君らを捕まえることなどできないのにと思う。
新しく新雪が梢に降り注ぎ、ふわふわと日照に照らされるのを見ていると幾分心が逸ることがある。そこにシジュウカラなどがやってきては冬芽をついばみながら、なにやらつぶやき、鳴いているさまを見るとやはり私は何かしら話しかけてしまう。そのような何もない素直な心で他者と接することなどなくて、いつも心のなかは蛹の中身のようにドロドロしている人間の心なんて実に醜いとしか思えない。
彼らは日差しがあると、いや、多少の雪降りの日でも、実に愉快にトリッキーに梢を渡り歩き、冬芽をついばんでいる。そんな姿を見ていると、どうしようもなく心が澄み渡るのを感じる。
そしていつもひとこと、私は話しかけるのだ。
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