死んだ子が悪い。/田中宏輔2
い)
それも、また、一つの物語ではなかったか。
やがて、日が暮れて、
帰ろうと言っても帰らない。
ぼくと、ぼくの
手と足の数が増えていく。
(胴体はない)
校庭の隅にある鉄棒の、その下陰の、蟻と、蟻の、蟻の群れ。
それも、また、ひとすじの、生きてかよう道なのか。
(胴体はない)
電話が入った。
歌人で、親友の林 和清からだ。
ぼくの一番大切な友だちだ。
いつも、ぼくの詩を面白いと言って、励ましてくれる。
きっと悪意よ、そうに違いないわ。
新年のあいさつだという。
ことしもよろしく、と言うので
よろしくするのよ、と言った。
あとで、
留守録に一分間の沈黙。
い
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