日差しの奥行/岡部淳太郎
初冬の日差しの奥行のなかに隠れているもの
それはこの冬を過ごすための知恵か
あるいは人の幸いか
または思惟や祈りのようなものか
そのどれであっても関係なく
人はその奥行の方へと向かうだろう
奥行で蠢いているはずの謎を気にしながらも無視して
空気が乾き始めているのを認めて
午後の日の傾きをひたすら待つだろう
それから人は
自らがそうした奥行のあるものに
冬のさなかにも他者を暖めうる何者かになろうと
それでもいくらかの湿り気のあるものになりたいと
暖かく夢見始めるのだ
(2025年11月)
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