恋しくて/秋葉竹
夕闇気味の
しずかなふるさとのちいさな町を歩く
暗い山が
間近に覆い被って来る
灯りの点きはじめた家家に
砂を舞わすように
吹くは歳を経た古びた微風
振り返るひととてなく
いつからひとに会っていないか
わからないほどの
ただ寂しいだけの風が吹いて
答えをみつけることのできない
むかしよく歩いていたこの町に
えいえんの愛にかまけたわたしに
吹くはもういちどだけでも味わいたい
怖いくらい無垢でしあわせなだけの
馬鹿げたほどの輝度の君との抱擁
いまはこれから君がいるだけで
世界は光り輝くだろうという神なき夜に
ひとつしかない心の真実を
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