ミセス・クロース(ほぼ改訂版)/室町 礼
パセリの
ほぼカモメのようなかたちをした穴からみえる雪原に
ぽつんと丸形郵便ポストがひとつ立っている
次の朝
ほぼボンネットバスにみえる小さな穴が
ほぼカモメにみえる穴の横にひとつあいて
そのむこうに
やっぱり
白い世界を輝かせている赤いポストが立っている
その夜
ほぼビスケットのようなぎざぎざがある小さな穴
がまたひとつあいて
そのむこうに真っ赤なセーターを着た彼女が
立っていた
そのまへを
緑の兜に黒ゴマのような目をつけた
はらぺこあおむしが
へこへことゆっくり通り過ぎてゆくのでした
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