白い音楽/岡部淳太郎
棘はいつだって自由に僕たちの心に突き刺さる
その鋭さを持ち歩き
ゆっくりと踊り出す
繰り返された言葉は一定の音となって
昨日のさらに向こうから来て
明日のもう一つ先へと消えてゆく
他の白目と緑の円環と猫舌と
排泄のための器具と生きるための主食
そして天才的な閃きがあって
僕たちは一つの光となって
賑やかに踊る
破裂した主張は放置されながら
次第に新しい波へと変化し
夢も殺人もそのなかに溶けてゆく
手に手を取って
勝手に生きるが良い
地下の空間では呼吸された息が往還し
そのなかでやはり僕たちは
さあ踊ろうと言い合っている
もう何年もつづくこの計画の前では
すべての悩みも懊悩も無効だから
そのなかに入ってゆけ
繰り返される律動と旋律
ーー白い音楽
(2025年12月)
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