表現の動機について/由比良 倖
何かを伝達したいという、僕の中の実感について掘り下げていきたいと思います。ちなみに、僕の表現手段、伝達手段は、主に言葉によるものです。
かなり浅い解釈だと、まずは「優越感を得る為」と考えられます。誰かからの賞賛を得て、自分こそが他者より優れていて、比類のない存在だという喜びに浸る為に、何かを表現する。そのような人はかなり多いと思います。僕にもその傾向があります。しかし、賞賛は一時的であり、また、「自らが他者より優れている」という考えは、ひとつ、あるいはいくつかの価値観に基づいているという点において、かなり狭量なものです。一時的な賞賛をさらに引き延ばそうとするほどに、人はそれまでの価値観から
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