ゆふぐれ/
りつ
ゆふかげ柔らに溶け出して
思い出る寂しさよ
ひと恋しさに涙する
鴉は友を呼ばひても
友の姿はあらずして
ひとり山へ帰り来む
巣立ちも終へし後ならば
ただ眠るため目を閉じぬ
ひとを恋わずば
寂しさも
覚えることもなかりせや
ひとりの夕暮れ
星ひとつ
月のない夜に輝ける
たれか知るらむ
誰そ彼の
静寂(しじま)の向こうに
呼びかけて
応える聲も今は無き
疲れた足を引き摺りて
待つ者ぞなき家路を辿る
このゆふぐれの静けさに
ただ我のみが
存在す
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