刺青/こしごえ
 
花は
咲きました
果てしなく
遠い色をした
沈黙の産声を放ち
それは
ここに刻まれています

みわたす限り
墓標の無い地平(こんな世界があるとしたら)に
墓穴をほり
ここに
種をまいて
うすい
無常色の
季節のはざまに
せつなさを
葬ることにしました

無謀でしょうか
失言でした
それでも
なぜかしらあるものです
そうなぜかしら
ですから
ここに
種をまいて

そんなはずはないと
いま
ほったばかりの穴には
わたしの顔が青白く微笑を浮かべ・・・はないとかなし
種には ギッシリとつまっていて

とどかなかった
空の色に
吐息は深く
ちかづいて




          
個人サイト「As H System」掲載

戻る   Point(4)