蒼いカノン/秋葉竹
枯れ果てた
くたびれた涙みたいな
蒼い月を
呼んだよ
泣いてないって
笑ってるでしょって
季節ごとにカンタンな嘘を
恥ずかしげもなく
ついたよ
だからわたしは
悲しいことも寂しいことも
幸福みたいなんだと
ひたすら信じ込もうとしていたよ
わたしたちには
わたしたちの春があったしね
わたしたちのクリスマスもあったしね
雪はもう
いやと云うほど降るかもしれない
枯れ木にイルミネーションより清い
純白の雪が白い虚言を装うとき
動き出す記憶のたとえば笑顔とかが
血管を巡る尖ったガラスだったりするから
べっつにね
現実なんて
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