蒼いカノン/秋葉竹
 

 

枯れ果てた
くたびれた涙みたいな
蒼い月を
呼んだよ

泣いてないって
笑ってるでしょって
季節ごとにカンタンな嘘を
恥ずかしげもなく
ついたよ

だからわたしは
悲しいことも寂しいことも
幸福みたいなんだと
ひたすら信じ込もうとしていたよ

わたしたちには
わたしたちの春があったしね
わたしたちのクリスマスもあったしね

雪はもう
いやと云うほど降るかもしれない
枯れ木にイルミネーションより清い
純白の雪が白い虚言を装うとき
動き出す記憶のたとえば笑顔とかが
血管を巡る尖ったガラスだったりするから

べっつにね

現実なんて
[次のページ]
戻る   Point(1)