短い日記/由比良 倖
 
ッドホンを付けている)、夢の成分が少しだけ空虚感に混ざってきて、微かに、静かな喜びを感じる。もはや、外に出ようと思うだけで、強い不安を感じるから、出来るだけ、小さな喜びに集中してて、鬱や不安からの逃避願望だけで自分が生きているかもしれないことからも、目を逸らしてる。本当は外出した方がいいのかもしれない。惰性だけで生きて、おそらくは自分を駄目にしていくよりは。
 僕を含めて、人たちがどんどん抽象的になっていく。自分の中にある、そして人との間にある、温かい思い出のようなものが、どんどん遠のいていく。けれど、僕は生きていく。活字を追いながら、そして音楽に浸りながらも、この寂しさがある限りは。いずれ、僕は満たされるかもしれない。
戻る   Point(3)