ネガティブ・ケイパビリティについて/由比良 倖
 
意識に自分を置く能力。それは現実逃避の極致なのかもしれないけれど、僕の解釈としては少し違う。

 遠回りになるかもしれないけれど、僕は無感動で無感覚で怠惰の極みに陥ることがとても多い。疲労感が強くて、何にもしたくないし、はっきり言って一日中「死にたい」とか「何にも出来ない」とかしか思っていないようなことがしょっちゅうある。大好きな音楽も、本も、少しも僕の心を震わせることがない。そんな時には「ネガティブ・ケイパビリティ」なんていう言葉は、もう全然、何の意味も持たない。
 自我から遠く離れてフラットになれるときって、例えば喜怒哀楽や、感覚や感情や感動を超えて、あらゆる悩みや不安や概念から切り離さ
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